院長 菊岡 慎友 インタビュー

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院長 菊岡 慎友(きくおか のりとも)

最近のひまわりデンタルクリニックについて

院長になって3年経ちましたが、いかがですか?

丸3年たって、今4年目です。
こちらに来た時は、大学病院からやってきた「理想」と、前の医院(医局の上司の先生の病院)の「人が作った枠組みに乗っかっていた」という感じでしたが、いよいよ自分で医院を構築しなくてはなりません。
「前の医院だったらこうしていたけど、ひまわりデンタルクリニックだと合わない」など、最初の頃は自分の中でもいろいろ葛藤がありました。
患者さんの話を聞いて患者さんが求めるものと、僕自身が理想と考える治療をうまく融合していくことができるようになったところが大きく変わったところですかね。

患者さんの年齢層はどうですか?

ファミリー層が多いですね。
診察券アプリや、保険診療もキャッシュレスで支払いができるようになり、おかげさまでとても好評です。

でも、まんべんなく様々な年齢層の方がいらっしゃいます。
現在高齢の方も多く来院され、中には90代の方も来院していただいております。

おお素晴らしい!それは歯をメンテナンスとすると、ご高齢になっても元気でいられる証拠ですか??

そうですね、80代の方も結構いらっしゃっていて・・・。
治療も、クリーニングもされます。
高齢の方って、治療をあまりされないで現状維持って方が多いです。
でも、実際お口を拝見すると「治療した方がいい」という方もいらっしゃいます。
その他にも、患者さんが昔から通っていたかかりつけの医院さんの先生が高齢になって「もうできないよ」といってバトンタッチされることもあります。

その方たちは自分で歩いて来院されるのですか?

ご自身で歩いてこられる方もいらっしゃいます。
すごいなと思います、普通に来てチョコンと座って待ってらっしゃいますから。
80代の方は比較的元気で歩いて来院される方が多いですね。
車いすでご家族の方と一緒に来られる方もいます。

あとは、認知症を発症された方なども来院されます。

認知症の方は、院内で診るのですか?

そうです。
ご家族の方と一緒に来られたり、おひとりで来られる方もいらっしゃいます。認知症の症状の程度によって様々です。
今うちに来られている方で、コロナで認知症が進行した方とかもいますが、しっかりと対応して診療しています。
後は介護をしている奥さんの愚痴を聞きながら(笑)、やっぱり皆さんストレスたまっているようです。
皆さん話す場所がなかなかないようですね。

確かに、他人と喋る機会が少なくなりますよね。

コロナ禍の状況だと医科の先生もあまり話を聞いてくれる時間がとれなかったりするので「ウチへ来て話して下さい」と僕はそう言っています。

前回のインタビューの中の、修業時代の「歯科医師としての屋台骨」(※1)の話に、感銘を受けました。

ありがとうございます。
その屋台骨に肉がついて、今皆さんに「こうです!」って納得いく治療が出来るようになりました。

基礎を固めてきたけど、応用が足りてなかった。
基礎工事が終わって外壁もいい感じになってきたな、というところです。
今は「こうすると、こう治ります」と自信を持って形を提示できるようなりました。

「10歳くらい若返っちゃったわ!」

治療の中で印象深いエピソードはありますか?

一番印象に残っているのは、80代の女性です。
前歯に金属の上にセラミック(白い部分)を焼き付けた被せ物(ブリッジ)が入っていたのですが、セラミックが取れ下地の金属の色が見えるようになってしまい「見た目が気になる」と相談されました。そこで、金属を使わないジルコニアセラミックのブリッジを提案して全部治したら、本当に喜んで「これで外をやっと笑顔で歩ける」をずっとおっしゃってくれて。
技工所さんとも「この症例は難しいので、どうしようか?」と相談しながらやりました。

どういうところが難しかったんですか?

前歯を含めた10本の歯がつながったブリッジの設計でしたので歯の並びの湾曲があるのでブリッジも湾曲に合わせて作製しなければならない。その上、土台となる歯の平行性を整えて削っていかなきゃならないんです。
しかもジルコニア(白い被せ物)はすごく堅い材料で、金属と違ってゆがんだりしないので、遊びがないところにピタッとはめないといけないので、削る作業がうまういかないと当然ブリッジも入らないのですごく大変でした。

職人技って感じですね。

だから技工所さんも最初戸惑っていました。
でも「患者さんの希望を何とか叶えたい」と何度も技工士や患者さんと相談しながら治療を進めて、大変だったんですけど出来上がったブリッジがきれいにピタッと入った時には、患者さんと一緒に喜んでました。

「10歳くらい若返っちゃったわ!」みたいな。

本当そういう感じです。
歯はすごく印象変わります。
今まで気にしていて笑えなかったのが笑えるようになったと。
特に女性の方は何歳になっても「人前で笑いたい」など、そういうところを希望される方が多いですので。

あと、こういう時は「いい話」をすることが多いと思うんですけれど。
僕自身の中で「成長したな」と思うところは、出来ない治療は「出来ない」としっかり提示して、「他の専門の先生にお願いしましょう」という話をしっかりできるようになったところが大きいですね。

自分自身の治療技術の境界の線引きをしっかり判断・診断出来る・・・例えばインプラントの治療だと「ここから先はインプラント専門を専門にやっている先生にやってもらってください。僕ができることころまでは、インプラントの先生に負けないくらいしっかりやります。でも、そこから先は僕の範疇を超えるので専門の先生のところでやってください」ということが提示できるようになったのは大きいですね。
自分でできる範囲を話すのは、誠意だと思うんです。

患者さんに「治して」と言われたら「何とかしなきゃ」って思うのが普通ですが。
「これで本当にちゃんといい治療が出来るのか?」ってことですよね。
経験を積んだからこそ言えるのかもしれませんね。

私が患者なら、先生なら安心してお任せできますね。

うちは遠いところからも患者さんが来てくださっています。
神奈川や埼玉からも来院されます。
そして、患者さんからの「いいわよ」って紹介で1時間以上電車に乗って通って頂いている方もいらっしゃいます。

インプラントに対する当院の考え方

ではインプラントの事についてお聞かせください。

今の「インプラントの問題の原因」は、「歯が無いから、インプラントにしましょう」といってインプラントを埋入(まいにゅう)して、上部構造を作ってということがパターン化してしまっている事です。
「自分の歯」と「インプラント」を比較した時に、何もしなければどっちの方が持つか?というと「自分の歯」の方が長く持つ訳です。
「インプラント」は、「自分の歯」よりももっと慎重にセルフケアをしなくてはならないのです。
しっかりブラッシングできるようになり、口の中の状態を自分自身でコントロールできていなければなりません。
そういった意味でも、インプラントは自分の歯を手入れする以上にケアをしなくてはなりません。

歯が無いからと言って、いきなり来て「インプラント入れてください」と言われても入れません、そんな簡単に入れられません。
まず、歯周病や虫歯などを治してから、インプラントをやらなくてはなりません。

経営の面を考えれば、(インプラントを)打っちゃえば儲かりますが、自分の信条にも反しますし、今まで勉強したことが何も役に立たないことなります。
なにより、インプラントは経営の為ではなく患者さんの為に行う治療です。
まずは患者さん第一です。

歯磨きを嫌がる子供にどうしたらいい?

3人のお子さんのお父さんでもあるとのことですが。

はい、三姉妹の年子がいます。
お父さんお母さんによく「うまく歯磨きできない」「秘訣はないのですか?」と聞かれます。小さいお子さんの歯磨きは、泣いて、わめいて、押さえつけてという感じのおうちもあると思います。
でも、ウチの子供は、そんなに押さえつける事はなかったです。
「何が違うんだろう?」と思ってよくよく考えたら、僕、子供の前で一緒に「歯を磨くの、楽しい!」という感じで、笑いながら歯を磨いてたんです。
子供は自然に真似します。
子供が小さい頃に「パパの歯ブラシ動かす!」と言って動かしてもらって、楽しそうにやってもらうと、子供も「あ、こういうの、自分もやられてもいいものなんだ」という認識が出来てくるみたいで、自然と受け入れてもらえますし。

だいたい、お父さんお母さん自身「パパパッ」と磨いちゃって「子供の歯磨きをしなくちゃ!」となります。
子供の歯磨きは、腕を押さえて汗だくになって「いいから!磨いて!」ってなるんですけれど(笑)、そうじゃなくて、まずはお子さんがお父さんお母さんと一緒に磨いてみるのはどうでしょうか?
5分とか10分とか、そういう時間を取っていただいて・・・そこを省いて、子供の歯磨きに四苦八苦して20分30分掛かることを思えば、1日の中でその時間を作った方が、結局、歯磨きの時間が短くて済みますよね(笑)。

患者さんにメッセージ

では、最後に患者さんにメッセージをお願いします。

とにかく安心してきてください。という感じです。
「歯医者って、よくわかんないから怖い」という方多いと思います。
実際うちもそういう方多くて、話ししながら治療して、いつのまにかそんなこと忘れて通院されているので。(笑)

話をできるという事は大事です。
不安じゃなくて安心できます。

先ほどのおばあちゃんの話のように、生涯健康でいるためには、しっかり噛んで食べられることが本当に大事なのです。
分からない事、不安な事、ぜひお話しください。

インタビュー:2020/11/13

おまけ:屋台骨の話~菊岡先生ができるまで(前回インタビューより抜粋)

どうして歯科医師を目指したのですか?

父が医者でした。
高校卒業したころは、医者にもなりたいけど、車とか機械系も興味があったので機械系の学部にいきました。
しかし次第に、自分の中で「医業に携わりたい」という思いが強くなりました。
大学卒業する頃になって父親の偉大さが自分の中で大きくなっていき、思い切って大学を中退して、歯科大学に受験し直しました。

ご出身大学はどちらですか?

駿河台の日大歯学部です。
卒業後、歯周病に興味があり、歯周病(ぺリオ)医局に入局しました。歯周病治療で有名な伊藤公一先生がいらっしゃったこともあります。
伊藤先生は9時半から5時まで診療して、その他の時間で研究しなさい、という先生でした。伊藤先生が朝7時前にいらっしゃるので、その前にお茶出しに行って、遅いときは夜中まで研究していました。

結構ハードですね。

その頃大学の近くに住んでいました。
寝て、起きて、7時前には大学に行ってお茶出して教授と話をして、そこから研究の準備をして、医局の仕事をこなして、9時半から診療して、診療も昼休みが明確になくアポイントの状況次第なので9時半から5時までずっと診療室にいて、終わったらやっと研究の時間です。
大学院では、機能水の研究をしていました。大学院生で医局の一年目、入局してからは、自分の技術の向上のためと研究を医局に所属し勉強させていただいている…そんな感じです。1年で10キロも体重落ちて、2年目の健康診断で「こんなに減っている」みないな。(笑)大学院生ってみんなそんな感じです。

その時の経験って、先生の中でどんな感じなんですか?

その時は大変でした。
しかし、診療も研究もつらい中やっていけたのは、いろんな意味で「自分は歯科医師としてどんな風にやっていけばいいのか?」の大本の「屋台骨」を作っている実感があったからです。
あの時の経験があるので、自分自身がどんな状況であっても「患者さんのため一生懸命やる」という「屋台骨」は揺らぎません。
患者さんはドクターが「どんな体調か?」ということは関係なく、「治してもらえる!」と思って来る。
僕がいくら飲まず食わずでも患者さんは「大学病院だから、いい治療をしてもらえる」と遠くから来てくれているのです。
それに「いかに応えていくか?」という事を、医療人としての「基本」を叩き込まれました。

それが今でも先生の「屋台骨」なんですね。(※1)

日大歯学部には「保存学教室」の中に「修復学」「歯内療法学」「歯周病学(ペリオ)」と3つの教室があり、昔から言われていることがあります。

「修復学」は窩洞形成(かどうけいせい:虫歯を削ったあと、修復する材料・つめ物の特性に合わせて、削ったあとの形を整えること)が上手くできる人。
「歯内療法学」は、「根っこ」の治療をやるので、「根管形成」が上手くできる人。
「歯周病学」は何をするところかというと、「人間形成」をするところだと。(笑)

そういう意味では厳しい医局で、医療人として患者さんのいないところでも「態度」とか、「考え方」とかすごく叩き込まれました。
伊藤先生の最後の年が、僕が一年目のときで、「最後の弟子」なのですね。他に行って「伊藤先生に教わっていた」となれば下手な動きはできないですね。

今も大学の医局に伊藤先生の直系の弟子で、僕が「師匠」と仰ぐ先生にいまして、その方は医療人としての考え方がすごくしっかりとしていて、診療の技術もすごい。
形成ひとつ取っても妥協なく、仮歯を作るのも「ほんとにこれ仮歯にしちゃっていいんですか?」と言う位キレイに作るような先生で、その先生みたいな診療ができるようになりたいと思いました。

大学病院を辞める時に、自分の医療人としての技術を向上したいと思い、師匠も治療に来る歯科医院で勤務、そこで常勤として3年働きました。その後、今年の4月からひまわり歯科の院長となりました。

前にいた医院でも「先生がいい」といって来て下さる患者さんがいて、こちらに移るといったら一緒に来てくださった方もいらっしゃいます。
また、大学病院にいた時に診ていた方で、わざわざ連絡をくださって来てくれる患者さんもいます。ずっと繋がって来てくださっているので、本当にありがたいですね。

ペリオ(歯周病)を学んできたので、「口腔内の虫歯だけ治せばいい」というのではなく、「なぜこの虫歯ができたのか?」と原因を追究してしまいます。
そこから良い口腔内、ひいては「その人自身が健康になってほしい!」という思いでいます。

インタビュー:2017/4/26

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